丘と海
遠くまで来た、今のこの幸せを嚙みしめようと
遠くまで来た、海を見て高級そうなお茶を淹れる
中国語は解らない 言葉が解らないのは心地いい
中国語は解らない 言葉が通じ合うのは私たちだけ
世界の最果てまで 愛するという約束は波風に溶けて消えていく
忘れたくないものを手放せば 凝り固まった私は私で無くなっていく
欲しかった愛を手に入れて 失うことを恐る間も無く夜は明ける
私はこの奇跡の数秒を世界の総てだと思い
何度も美しさを塗り変えるのだろう
記憶など時間など結局意識の濃度にすぎない
執着に過ぎない それが自我なら
泣いてる私ごと捨ててしまおう
叶わない夢も会えない日々も消えない
取り込むものでもない 吐き出すものでもない
それはただ、窒素のように私を構成している。