2018-01-01から1年間の記事一覧
17歳の夏 私は初めて深夜バスで新宿に一人で降り立った東京の美術大学に行くために新宿の美術予備校に通うと決めたからだ。小田急ビルとハルタワーが重力に従って落ちてくるのではないかと不安に思ったことを覚えている。西口のルイヴィトンの看板の下にホ…
真夜中に走馬灯のように記憶は現れて 薄れない画素が邪魔をしている 毎晩私を谷底に落下させる 明日こそ死のう、明日こそ と小さく決意して 毎朝希望で決意を洗い 繋ぎ止めた。今日まで。 昔絵本で眺めた針地獄より悲惨な生き地獄も歌とか絵になれば綺麗だと…
夢、抱いたそばから灰になり 黄金の酒煽ればガラスの心砕け 酩酊うちに砕けし野望など 遠野物語 逃避行 少年と逃げし青き荒野 流れていくもの 流されていくもの 忘れていくもの 忘れていくものと 雲母のごとき輝ける記憶の排泄に ただ立ちすくみ 立ちすくみ …
愛しているけどそれがなんだ 夢でいい
センチメンタルに火をつけた 燃え上がれ 周囲の草や花も全て真っ黒に焦げるまで眺めていたい。 新品の幸福 美しいラッピングを潔く剥がして見える肉体と魂の間にある虚空 そこに埋められた孤独 忘れられない 叫びたいけど叫べない 大声で怒る前に泣き崩れそ…
食事を摂りにリビングに行った 父親自身の自殺願望への肯定を促され怒鳴り合いになる 父親のことは好きだが私はこの人のように憐れみも理解も要らない 私だって死にたいよ、だけど、生きてんだよと叫びたかった。だが理性とプライドがそれを許さなかった。美…
叩けよ 扉 さらば開かれん 叩けよ 扉 燃え盛る男 叩けよ 扉 後悔が裏で待つ 叩けよ 扉 打ち壊された子供 開けよ 扉 閉じた夏の日 開けよ 扉 掴めぬ陽炎 開けよ 扉 海水に沈んだ女 開けよ 扉 殴打の果て
首括った女 夜毎這い回る夢の中 あれから何年経った 俺に心中を畏み畏み 申し立てるが俺は幾度なく 断る複製動画のように 所詮優しさに己の鼓動を 差し出す人間では無い 共存など出来るもんか花のよう 救えず萎れて行く彼女の幽霊に手を 合わせるなり我神か…
情念煙を描き螺旋と落下す 黄昏垣間見えるは蚕の記憶 燃える合成樹脂有害の薫香 群青濡れ広がる夕闇に孤愁 孵化する四季青春との惜別 戦場の白き手帳彼歯で嚼む 茜射す混凝土影踏みの都会 啼く鴉急げと我等に告げる
自分だけ世界の最果てにある電波塔に一人閉じ籠って 一人でラジオを放送している気持ちになる 私だけ世界中のあらゆる人と話せていないような そんな妄想に襲われる時がある 私以外の人間が違う言語を話していたと言われたとしても そんなに疑わないくらいの…
意味がないのに辛いのか 意味がないことが辛いのか 意味を求められることが辛いのか
完璧な大人になれなくていいし、青春は感じ切れる哀しみや怒りを瞬間全力で燃やす時期だとぼんやり思う。対岸の火事のように今はぼやけて見えるものだけど、背中に少女時代の炎を小さく背負って絵を描いたり日記をつけたりして暮らしている。 確かに幸せにな…
待って報われたことが一度でもあるだろうか。 待ち続けた君、いつか願ったことが叶うと降伏する時間だけが幸福だった。 祈ればその瞬間は約束が結ばれる。信じるものは、信じるその時だけ救われる。 賤しくも到来しない永遠に帰属する、自罰的安寧を得る。 …
無稽の祈りを掲げるのは瞬間体をすり抜けて行く死と喪失を忘れるため。 信仰を失って以来私は永遠に何者にも帰属できずにいる 永遠を持たぬひとは刹那の寸断に耐えられない 大人になっても空虚 想像通りの空洞。 芸術に帰依し 存在しない永遠を探し続け 蜿蜒…
綺麗なペルシャ絨毯みたいな言葉の織り方する人、寸分の狂いもなく論理を作っていく人、精巧な時計の修理をきゅるきゅる早回ししているみたいで楽しい。私はさながらペルシャ絨毯針でつついてそこに生きてる新種のダニを試験管に入れて光に透かして綺麗奇麗…
———正しい一つの真理を求めるのは狂気への道だ。 起こること総てに理由がある、と幼い頃から育てられてきた。 だから、総ての事に常に理由を探して来た。幸せや哀しみ、殺してしまった蝶や私自身の命に対しても。 ぼんやりと与えられた神様を捨てて、生きる…
心臓の瞬きやあらゆる激情は波打つパルスの変遷はただ円環のように周り続ける運命線上でワルツを踊り血を流し合う踊らされるな 魂と踊れ 今ある何かを愛し続け気づかぬうちに死んでいけ愛を抱いて死へ駆け抜けろ死ぬまで生きてくれないか震える高潔な魂お前…
「生まれた瞬間人はタブララサではなく、遺伝子で思考が決まる」 最近そう本で読んだ。ならば毎秒起こる破壊衝動は生来のものなのか。 モラルとインモラルの交差点 湿った教科書抱きしめて転がる いい加減諦めを教えてほしい。 飽きているのは、即席の絶望。…
10代はとにかく想像した、つまらない田園風景が憎らしかった 目に見える風景が、人が、総て燃えてしまうことを想像して心を安堵させた 架空の銃の引き金を引き、想像の中で何度も人を殺した そうする事で自分を慰めた 当時の日記にはこう書いてあった 「私…
水が私を侵しているのか 私が水を侵しているのか 上も下も存在せず 掌と水の境目も無い 見えた景色と私は重なってゆき 心まで透明になってしまいそうだ ピストルに手を伸ばし 天使を撃ち抜いた 空気のかたまりが抜けた
美術館のガラスに映る内側にきつく折り曲げたスカートと孤独。 あの頃当たり前に笑いあえた人達の事を考える もう先に会えなくなった人たち、不器用さから自ら会えなくした人たち。 全部忘れてはいない、私は無表情で何一つ忘れられないから 総て過ぎ去った…
どんな風に世界が見えているのかたまに羨ましくなる、と言われていたことを思い出した 窓の外に原子爆弾が降り注いでいる状態でも想像すればいいと思う。とは言わなかった。普通だよーと言った。これからも普通。死骸の中を歩く。目の前の君も爛れている。防…
たしかにここに存在した事 無かったことにしないで、と 子どもたちとおそろいの声帯を与えられていたなら、僕は今すぐ泣き出した。叫んだ。ただそれを許さない程目の前の波はゆらぎを繰り返しただ眩しかった。差し込む夕暮れを反射する水しぶきに意識を同調…
安心に恐怖が含まれているのを感じる。悲しみと悦びが癒着している。感情はいつでもそれ単体では沸き上がってこない。複数の相反する磁力の間に人間の感情があるように思える。言葉から離れた場所に心があると常に意識しないと、すぐに曖昧な揺らぎは見えな…
手に入らないものを何年も待ちわびて、終わったものを願って、思い出すこと自体幸福と苦痛の往復 思い出すことは自傷行為でありナルシシズムにすぎないと解っている 解っているだけ
強い離人感は悲しみに比例する。何か辛い事が起こるとまるで映画を眺めているような気がしてくる。一割は本当に悲しんでいるんだけど、九割は凄まじい光景を磨りガラス越しで見ているようなぼうっとした気持ちになる。 火達磨になりながら遠くの火事を見てい…