空気の剥がれる地点
私を泣かした奴が幸せになって、
愛の定義を捨てた私は思わず放火でもしてぇなあ などととぼんやりと思いつつ待ち合わせに来た恋人の顔が何故か満面の笑みで可愛かったので 私も誰かの恨みをかってるかもしれないから さっさと心で忘れたフリしないとと思った。時間の無駄。世界平和。ここは娑婆。
綺麗な忘れかたや、執着の手放し方なんてあるのか。乗り越えるべき なんて思わない。大人になったと思えるのは、痛みと共存できるだけの心の強度を持てるふうになって来たこと。何もかも消えはしない。
目の前の幸せが走馬灯みたいに、
その中で辛い記憶がハレーションを起こして閃光みたいに一瞬爆発して、逃げられないと思う間に目の前が正しく今日になっていて、心の置き場はない。ただの日差し刺す道路に戻る。時間は自分のものにならないし、総ての場所は誰かのものだし、空は綺麗だった。